失業保険の受給について

会社を退職した後、次の仕事が見つかるまでの生活を支える「失業給付(基本手当)」。これは、雇用保険に加入していた人が一定の条件を満たすことで受け取れる制度です。しかし、受給にはいくつかの要件があり、状況によっては支給されない場合もあります。今回は、失業給付の基本的な受給要件と、需給が認められないケースについて解説します。

失業給付の基本的な受給要件

失業給付を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 雇用保険に一定期間以上加入していたこと
    一般的には、退職前の2年間に12ヶ月以上(特定受給資格者などは1年間に6ヶ月以上)雇用保険の被保険者であった必要があります。

  2. 「就職の意思」と「就職可能な状態」であること
    病気や妊娠、介護などで働けない状態の場合は、「失業状態」とは見なされません。また、「すぐに働く意思」があることも重要です。

  3. 積極的な求職活動を行っていること
    ハローワークでの求職申込や、実際に求人へ応募しているなどの活動が必要です。

なお、失業給付の受給中に別の会社の役員(取締役など)に就任した場合、その時点で「就職した」と見なされ、原則として受給資格を失います。これはたとえ役員報酬がゼロであっても、就任という事実が「就労可能な状態にある」と判断されるためです。
役員として実質的な業務に関与していない、単なる名義上の就任であったとしても、ハローワークでは詳細な状況確認が行われることもあり、その際受給の可否が判断されます。誤って受給を続けると、不正受給と判断され、返還請求や追加徴収(最大で3倍返し)が発生することも想定されますので、注意が必要です。

受給が認められないケースの具体例

以下のようなケースでは、失業給付が支給されない、または停止される可能性があります。

  • 自ら希望して退職し、待期期間終了後にすぐ就職活動をしない場合

  • 家業を手伝い始めたが報酬を受け取っていないと申告したケース(実質的に就労と判断されることも)

  • 海外旅行や長期帰省などで就職活動の意思が確認できないとき

  • 会社を辞めた後、個人事業主として開業準備をしている場合(開業前でも活動状況によっては失業と認められない)

失業給付は、あくまで「働く意思と能力があるが、現時点で職がない」人のための制度ですので、退職したからといって、その後役員就任や副業、開業準備を行うなど、失業状態とみなされない行動をとると受給資格を失う可能性があります。少しでも判断に迷う場合は、事前にハローワークにするのが無難かもしれません。

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Posted by higuchi