税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンス(DD)について。
税務DDにおいては、買収対象会社の税務リスクの検出が主な目的となりますが、そのためにいくつかのアプローチ手法で調査を行うこととなります。
わかりやすいのは税務申告書を確認するというもの。限られた時間の中で調査が行われるため、当然申告書のすべてを事細かに確認することは不可能かもしれません。したがって、将来的に追徴税額が生じる可能性の有無という観点で、調査が実施されます。
そこでまず確認されるべきは所得計算そのもの。加算調整項目については、網羅的に加算調整が行われているかという視点で確認することとなります。一方で減産調整項目については、その減算調整は本当にふさわしいものかという観点で確認することとなるでしょう。
とくに、網羅的な確認が求められる加算調整項目については、申告書を眺めていてもリスクを検出することはできないため、上記で述べた複数のアプローチ手法をもって調査を実施します。代表的なものをいくつか紹介します。

①ビジネス
対象会社の業種や取引の内容をもとに、税務リスクのあたりを付けるというものです。例えばIT系の業界ですと、開発業務等にかかるコストの資産計上の論点などが考えられます。また、経常取引と非経常取引とに分け、特に重要な非経常取引を分析対象とすることも考えられます。

②税務調査
過去の税務調査の履歴を確認することで、その会社が特に留意すべき税務上の論点を把握し、そこに税務リスクがないかを重点的に検証するという手法です。
また、税務当局と争いになっている事項や、議論に発展した事項などについても確認することで、より網羅的に当局目線での税務リスクを把握することが可能になります。

③税務コンプライアンス
こちらは対象会社の税務処理体制についてです。対象会社自身の税務体制はもちろんのこと、顧問税理士の関与状況等についても確認します。対象会社の税務コンプライアンス体制次第で、税務DDをどの程度注意して実施すべきかの参考にもなります。

④税務申告書
冒頭述べた通り、過年度に提出した税務申告書をもとに税務リスクにアプローチする手法となります。この手法では、税務申告書の情報から誤りの有無を検出したり、申告書を他の論点検証の参考にしたりといった調査を実施することになります。

上記のように、様々な手法で税務DDを実施し、対象会社の税務リスクにアプローチすることとなります。DD担当者のみならず、税務申告書作成担当者自身もこんな視点をもって申告書を作成すると、より質の高い税務申告書が作成できるかもしれません。

【一日一新】
東京税理士会データ通信協同組合

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Posted by higuchi