社会保険制度の概観
本日はFP関連のトピックとして、我が国の社会保険制度について概観していきたいと思います。
社会保険制度と一口に言っても幅が広く、いわゆる健康保険、介護保険等に加え、広い意味では労働保険なども含まれます。ただ今回は狭義の社会保険として、医療保険制度のうち「健康保険」と「国民健康保険」についてみていきたいと思います。
国民はみな、上記いずれかの保険に加入し、お金を出し合うことで、ケガ病気、出産などに伴う医療費を負担し合っています。
目的が同じため二つの保険に分かれる必要もなさそうに思えますが、それぞれ加入対象者が異なっており、また保障内容についても若干異なる点があります。
まずは両者の共通点についてみていきたいと思いますが、以下の内容は共通しています。
・医療費
・出産育児一時金
一つ目の医療費については、どちらの保険制度に加入していても、加入者はかかった医療費のうち3割を負担すればよいこととされています。二つ目の出産育児一時金については、出産したときに支給される一時金となります。従前は42万円が支給されていましたが、令和5年4月以降、これが50万円に引き上げられています。
では異なる点はどのようなものか。まず両保険の加入対象者の違いから見ていきますが、「健康保険」は、公務員、会社員とその家族が対象となります。一方、「国民健康保険」は基本的にそれ以外の方(自営業者等)が対象者ということとなります。
また、内容面でいうと、下記の点が両者で異なる点として挙げられます。
・出産手当金
・傷病手当金
・保険者、保険料
出産手当金とは、出産前42日と出産後56日との間、休職に伴い給与が支給されない場合に支払われる手当金となります。また傷病あて金とは、業務外の理由で4日以上働くことができず、給与が支給されない場合に支給される手当金となります。いずれも社会保険独自の制度となり、国民健康保険加入者は支給を受けることができません。
また保険者および保険料について、国民健康保険は加入者が居住する市区町村が保険料の徴収や保険金支払いをする保険者となりますが、健康保険の場合は加入者の勤務先が所属する健康保険団体が保険者となります。(協会けんぽ、組合健保等)
保険料についても、健康保険の場合は給与の額をもとに勤務先が計算し、労使折半でその保険料を負担し合います。国民健康保険の場合は、前年の所得をベースに各自治体が計算して保険料が決定されます。
このように両者で保障内容や保険料負担額も異なるということで、例えば独立など、働き方の見直しで健康保険から国民健康保険に切り替わる可能性がある方は、社会保険の観点も考慮して、方針を決めていかれるのが望ましいかと思います。
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