資産管理会社の設立
資産管理会社は様々な属性の方が設立されます。例えば上場企業オーナーや、個人投資家、未上場企業オーナーなど。
それぞれ資産管理会社の活用法も異なりますが、今回は個人投資家の方が資産管理会社を設立するメリット、デメリットについて考えたいと思います。
上場株式、投資信託の運用を行う個人投資家の場合、配当収入や株式売却収入を得ることになりますが、いずれも所得税計算上は約20%が課税されます。
一方、資産管理会社を設立した場合は法人税計算の対象となりますが、所得の種類を問わず、一律で実効税率は約30%程度となり、個人に比べ少し高くなります。
これだけ見ると、資産管理会社設立のメリットはあまりないように思われますが、法人の場合は配当収入や分配金収入を、他の経費と通算することが可能です。株式取得にかかる費用はもちろんですが、そのほかに役員報酬を支給している場合はそれも経費計上されますので、役員報酬も通算の対象となります。
また、資本金1億円以下の法人については、年間800万円までの所得については税率15%(国税部分に限る、通常は23.2%)が適用されるため、年間所得が800万円以下の場合は、先に示した個人の税率との差異が、その分縮まることとなります。
従って、年間所得が800万円以下に収まりそうなケース、配当等の収入と通算できる経費が生じることが見込まれるケースでは、法人化(資産管理会社設立)を追求してもよさそうです。
加えて、法人の場合は繰越欠損金の使用期間が長いこと、その相殺対象も個人に比べ広いことは、大きなメリットの一つといえるでしょう
一方で、法人化する場合は追加コストも考慮しなければなりません。
まずは会社設立に費用が掛かります。会社形態にもよりますが、15~25万円程度がかかると想定されます。
また、法人の場合は損益のポジションにかかわらず一定額の税負担が生じます(東京都の場合は7万円)。税の関連でいうと、税務申告のための税理士報酬も生じうるでしょう。例えば役員が複数人在籍していたり、経費の種類も複数生じるなどの場合は、税務上の検討項目も増え、その分個人に比べ税理士報酬が増加することも考えられます。
今回は有価証券の運用のケースで比較してみましたが、明日以降、他の所得が生じるケースでも検討してみたいと思います。
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