配当控除について

株式投資で得られる利益のひとつに「配当金」があり、これには配当金には税金がかかりますが、一定の条件を満たせば「配当控除」という制度を利用して税負担を軽減することができます。
投資業務を個人でおこなうか、法人でおこなうかで税率差異によりメリットデメリットが想定されますが、その際この配当控除の影響も無視できません。ただし、配当控除を使うことで、国民健康保険料の増加など、思わぬ影響も考えられますので、その点について検討してみたいと思います。

配当控除とは、上場企業などから受け取った配当金に対して一定割合を所得税・住民税から差し引ける制度です。具体的には、総合課税を選択して確定申告をすることで、所得税では最大10%、住民税では最大2.8%の控除が適用されます。これにより、トータルの税負担を軽くすることが可能です。例えば年間100万円の配当所得を得ている個人がいた場合、その10%の10万円を所得税から控除できる、ということになります。

これだけ聞くと配当控除を受けたほうがいい気もしますが、問題は、総合課税を選択することで配当金が「所得」として合算されてしまう点です。国民健康保険料は、所得金額に応じて計算されるため、配当控除で税金が軽減されても、所得が増えることで保険料が上がってしまう可能性があります。たとえば、配当金が100万円あった場合、それを総合課税で申告すれば、税率の低い配当控除が受けられる一方で、課税所得が100万円増えることになります。結果として、翌年度の国民健康保険料が数万円単位で増えることもあるのです。(逆に、源泉分離課税(申告不要制度)として源泉徴収で納税を済ませた場合、国民健康保険料の算定基礎にその配当は含まれない、ということになります。)

配当金の課税方法には「申告不要制度」「総合課税」「申告分離課税」の3つがありますが、節税を最大化するためには、配当控除のメリットだけでなく、保険料や各種手当などへの影響も総合的に判断することが大切ということですね。特に、所得控除の少ない自営業者や退職後の年金生活者などは、国民健康保険料の増加が家計に直結します。状況に応じては、あえて配当控除を使わずに申告不要とする方が有利なケースもあります。(金融所得のみ得ている方などで、相応の所得があるにもかかわらず、国民健康保険料をほとんど負担していないケースもあるかもしれません)

配当控除は、うまく活用すれば税負担を軽くする便利な制度です。しかし、国民健康保険料の増加といった副次的な影響もあるため、確定申告の前にシミュレーションを行い、総合的に判断することが重要です。

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Posted by higuchi