中小企業の経営者の万が一に備える制度として「経営セーフティ共済(正式名称:中小企業倒産防止共済)」があります。これは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する共済制度で、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための資金を、無担保・無保証で借り入れることができる仕組みです。
この倒産防止共済の最大の特徴は、掛金が全額損金(法人)または必要経費(個人事業主)として処理できる点です。これにより節税効果が期待でき、年間最大240万円(月額20万円×12か月)まで掛金を積み立てることが可能です。
また、共済金の貸付けは迅速で、取引先の倒産後でも比較的スムーズに資金繰りを行えるのも大きな利点です。
さらに、40か月以上掛金を積み立てていれば、任意解約時でも原則として全額が「解約手当金」として戻ってくる仕組みです。長期的に見れば、資産形成の一助にもなります。
ただ、いくつか注意点もあります。まず、解約時期によっては「元本割れ」が起こる可能性があるという点です。具体的には、掛金納付期間が12か月未満では一切戻りません。また、12か月以上でも、40か月未満で解約すると、納付した金額よりも解約手当金が少なくなるため、結果的に損をする可能性があります。また、一度解約すると、解約日から2年経過するまでの掛け金については損金算入が認められないというルールもあります。
さらに、解約手当金に対しては、受け取った際に益金(法人)・事業所得(個人)として課税対象になります。したがって節税目的で加入したとしても、解約時のタイミングや受取額によっては、税負担が一時的に増加することもあるため、実質的には課税の繰り延べということになりますね。
経営セーフティ共済は、万一のリスクに備えながら節税効果も期待できる制度ですが、その一方で、解約タイミングや税務上の扱いについては慎重に考慮する必要があります。
【一日一新】
京城苑 二又川店