役員退職慰労金

役員退職慰労金とは、取締役など、法人の役員であった方が退職される際に支給される慰労金を指します。M&Aにより会社を売却する際、譲渡対象会社の役員に対し支給されることも多いかと思います。
この役員退職慰労金、一般的には株主総会決議にて支給額が決定されることが特徴的です。(その他一般社員については、基本的に退職金規定等で支給水準が定められていると思います)

したがって、同族会社などの場合、役員退職慰労金の額が恣意的に決められた結果、不当に法人税額が減少することも考えられますので、法人税の観点から、役員退職慰労金については適正な金額水準で支給することが求められます。

役員退職慰労金の支給額の算定時によく用いられるのは、「功績倍率法」といわれる手法です。これは下記の算式で求められますが、ここでいう功績倍率については、代表取締役の場合は3倍程度、専務・常務取締役などについては2~3倍程度が一般的とされます。

“役員退職慰労金=退職時の月額報酬×勤続年数×功績倍率"

また、特に功績を残して退職した役員に対しては、上記算式にて算出金額に加え、功労加算金を別途支給することがあります。この場合の支給額の目安は役員退職慰労金のおよそ30%とされています。

一方で慰労金を受け取る役員側からすると、その慰労金は退職所得を構成し、所得に応じ所得税が課されます。退職所得については、その全額が課税対象とはならず、支給金額から一定の控除額を控除した金額に50%を乗じて計算した金額が所得を構成し、また退職所得についてはそれ単体で税率が適用されるという取り扱いのため、その他所得に比べ低い税率で課税されることが考えられます。

役員にかかる退職金については法人税、所得税双方の観点で検討が必要になりますので、トピックとして記事にさせていただきました。

【一日一新】
涙の女王

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Posted by higuchi